「オオムラサキの幼虫は冬、落ち葉の下で眠ります。だから…」−−谷津さん
朝8時にバスは赤羽を出発。関越自動車道を通って一路、最初の目的地、国立武蔵丘陵森林公園へ向かいます。ここは武蔵丘陵の自然な地形を活かした標高40〜90メートルの広大な公園で、東西に約1キロメートル、南北に約4キロメートル、面積は約300ヘクタールもあります。
今回は公園中央にある山田大沼周辺で自然観察を2時間ほど行い、昼食をとりました。公園内を案内してくださったのは「森林公園かんさつ会」の谷津弘子さん。森林公園をより良くするために、そして大勢の人にここの自然を楽しんでもらうために活動されている方です。ケヤキの木を前にしての谷津さんのお話は興味深いものでした。この木はもう古木で木肌もボロボロ。根元の周りには木材で囲いがあって落ち葉がそのまま残っています(写真参照)。
通常、公園整備や里山で雑木林などを管理する場合、古木は切ってしまい、落ち葉なども掃いてしまうそうです。そのほうが人間が管理するには都合がいいからなのですが、実はオオムラサキなどの昆虫や小動物にとってはいい迷惑。オオムラサキはケヤキの根元にある落ち葉に卵を産み、冬を越し、ケヤキの樹液を吸って成長するので、落ち葉は必要だし、木肌に傷がある古木ではないと樹液も吸いにくいのです。
ですから、谷津さんたちは公園事務所の方々と話し合って倒木の危険の少ない古木はなるべく切らずに、落ち葉も最小限度残してもらうようにしてもらっているそうです。
公園内の自然を人と自然双方にとって良いように管理することがいかに大変なのか、少しだけ分かった気がしました。
ということで園内で自然観察をしてお弁当を食べた後は、武蔵武士の史跡めぐりに出発しました。
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