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【2006年04月12日 12号】
2005年11月12日。朝10時。ツボッチと昇ちゃんは徹夜を明かしていた。
ツボッチ「…昇ちゃん、眠たいなぁ…」
昇ちゃん「そんなこと言ってる場合じゃないですよ、ツボッチ兄さん。もう時間がないし、練習しないとやばいっすよ…」 |
今日はここ、足立区こども家庭支援センターにて「第一回『川の日』ワークショップ関東ユース大会」が行われる。「『川の日』ワークショップ関東ユース大会」とは、関東にある自分たちの川の魅力をアピールしようと、いろんな人が集まり、発表し合い、そして川仲間との交流を深めるという場である。今回、関東では初めて行われるということで、団長ははりきってしまい、『絶・対・優・勝!』の一言でツボッチたちもあらかわweb探検隊で参加することになった。…と前日に言われても、何をしていいのか分からないツボッチたち。とにかく明日までもう時間がないので、発表するネタを考えなければならない。
発表前日深夜。都内某ファミリーレストランにて。
ツボッチ: |
ん〜、どうしようかな?…。そうや!ここは、団長の裏話でもするか?、ウケると思うねんけどな。 |
昇ちゃん: |
ちょっと、冷静になってくださいよ…。団長なんて誰も知らないっすよ。原点に戻って、僕らは荒川の何を知ってもらいたいのか。それで僕らは荒川で何をやっているのか。そこからもう一回、発表のネタ考えましょうよ。 |
ツボッチ: |
そうやな…。ん〜、…すみませ〜ん!和風ハンバーグランチ下さい! |
店員さん: |
今の時間ランチはやってません。 |
昇ちゃん: |
そらそうですよ…、って飯喰うんかい! |
ツボッチ: |
じゃあ、この季節のハンバーグあんかけ風味下さい。 |
店員さん: |
今の季節はやってません。 |
昇ちゃん: |
じゃあ、載せるなよっ! |
ツボッチ: |
…それや、昇ちゃん!そのつっこみをいかして、漫才するんや!今までweb探検隊で経験してきた話をネタに昇ちゃんツッコミ、ツボッチボケで漫才するんや〜! |
昇ちゃん: |
え〜、やったことないし、絶対無理ですよ〜。というかツボッチ、ただ漫才やりたいだけと違うんですか |
ツボッチ: |
よし、さっさとネタ決めて練習しよ!もう時間がない! |
店員さん: |
ご注文は? |
ツボッチ: |
じゃあ、このびっくり特選ハンバーグ。 |
昇ちゃん: |
って、喰うんかい! |
ツボッチ: |
それだよ、昇ちゃん! |
発表当日。足立区こども家庭支援センターにて。
ツボッチたちの発表時間まで、あと1時間をきった。会場にはすでにたくさんの参加者が集まっている。全チームで19チームが出場するらしい。多摩川、相模川、野川を代表する人たち。最初の発表者、南浅川を発表する人たちがすでにスタンバイを始めている。まずは一次選考を行い、そこを勝ち抜いたら、決勝戦が待ち受けている。
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ツボッチ: |
しょ、昇ちゃん…多いね人。何か緊張してきた… |
昇ちゃん: |
今さら、何言ってるんですか。練習もっとしなきゃヤバイっすよ。僕のツッコミはなんとかなるとしても、ツボッチ全然ネタ覚えてないじゃないですか。 |
ツボッチ: |
そ、そんなことないよ…。じゃっいくで… |
2人: |
さんっはいっ!(パチパチパチ)っはいど 〜も〜!! |
昇ちゃん: |
昇ちゃんで〜っす! |
ツボッチ: |
ツボッ |
受付: |
うーるさいな〜!もう本番始まってんねんけど!! |
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大勢のお客さんが・・・! |
発表本番 |
お客さん: |
………。 |
ツボッチ: |
よいっしょ、よいしょ!(地引網の網を引っぱっているマネ)…あ〜疲れた(網から手を離すマネ) |
昇ちゃん: |
なんで〜やねん!! |
お客さん: |
………。 |
ちんっ!
司会者: |
時間終了でーす。 |
2人: |
…ど、どうも〜、ありがとうございました… |
司会者: |
…はい、荒川web探検隊のみなさんでした。え〜、審査員のみなさんどうでしょう。 |
審査員1: |
え〜、漫才をしようとするチャレンジ精神はよいですね… |
審査員2: |
…かっぱとかえるがいいですね… |
審査員3: |
…体力がありそうでいいですね… |
司会者: |
…はい、ありがとうございました… |
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いざっ!ツボッチ・昇ちゃん漫才
心暖かく見守ってくれた審査員の皆さん |
発表終了後 |
ツボッチと昇ちゃんは落ち込みまくっていた。1次選考にすら通らず、優勝なんてほど遠かった。
ツボッチ: |
…昇ちゃん、これまで25年間生きてきて、ここまで居たたまれなくなったの初めてやわ…。 |
昇ちゃん: |
…ツボッチ、僕もベスト1です…。優勝…無理やったな、団長に怒られる… |
ツボッチ: |
そんなことより、荒川のこと全然伝えれてないのが、悔しいな… |
昇ちゃん: |
そうですね…、荒川代表失格ですね… |
2人: |
……。 |
子供1: |
ちょっと、自分ら。ネタひどかったな。 |
子供2: |
テクもないのに、漫才やったら怪我するで。もうやめとき…。 |
2人: |
なんやと〜!子供のくせに〜。誰やおまえらっ! |
子供1: |
うちらも荒川の発表したもんや…。「荒川ビジターセンター」いうとこでやってんねん。荒川好きなんは分かるけど、もっとお客を楽しませなな…。 |
子供2: |
お客という荒川を汚したらあかんで。 |
2人: |
…す、すいません! |
子供1: |
まあ、お互い…荒川のいいところ、みんなに広めようや…。 |
子供2: |
ほなな…。 |
2人: |
…。ちょっと待って下さ〜い、師匠〜!
僕たちも連れてってください〜!! |
ツボッチと昇ちゃんはこの2人のあとを追っかけていった。
彼らがいう「荒川ビジターセンター」とは一体どういうところなのか。
次回、「荒川ビジターセンター」突撃レポート!!
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笑いを知ってる2人・・・ |
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【2006年4月3日 11号】
2005年 10月30日(日)午前9時。最近、他の仕事が忙しくてなかなかWEB探検隊の活動ができてない昇ちゃん。しかも、ツボッチ兄さんにお株を奪われつつある。こんなことでは、とうてい荒川の源流にたどり着くことなんかできない。
そんな、焦りを感じつつも、昨日も仕事で徹夜…そこへ突然、昇ちゃんの携帯が鳴り響く。 |
モチモチ
会 長: |
あー、もちもち、俺だけど。ちょっと、まずいんじゃないのー。 |
昇ちゃん: |
え?あのー、どなた様でしょうか? |
会 長: |
えぇぇ〜、どなた様じゃないよ。会長です。か・い・ちょ・う! |
昇ちゃん: |
会長?新手の勧誘ですか? |
会 長: |
何言ってんだよ、あらかわweb探検隊の会長です! |
昇ちゃん: |
か、会長!?一体、何のご用で? |
会 長: |
最近、さぼり過ぎなんじゃないの? |
昇ちゃん: |
うっ、それがですね、ちょっと仕事が忙しくて… |
会 長: |
そんな言い訳はいいからさ、荒川で地引き網やるのに、人手がいるんだよ。ツボッチにも伝えてあるから、あとは頼んだよ。 |
ガチャン!!ツー…ツー…
「うちの団長といい、会長といい、なんていい加減なんだ…。人の言うこと全く聞かないし…まぁ、気分転換にいっちょ、やったるか!!」
…とはいうものの、だいたい川で地引き網なんて聞いたことない。本当に大丈夫だろうか??
久々の活動
ツボッチに電話で問い合わせたところ、どうやら漁は本当にやるらしい。
指定された場所に向かうと、ツボッチを含め、漁師さんたちはすでに準備を始めていた。しかも、なんとあのスマート集団「撮影班」まで来ているではないか!!
「ここで格好いいところを見せれば…」
ツボッチ: |
なにニヤついてんねん、昇ちゃん!はよ、手伝ってーな!! |
昇ちゃん: |
は、はい〜〜! |
漁師さん: |
カエルの次はカッパかい…ほんとに役に立つのかね? |
昇ちゃん: |
まっかせてくださいよ!!もう、大船に乗った気持ちで!! |
漁師さん: |
大船なんてここにはないから、じゃ、小舟に乗った気持ちで… |
ツボッチ: |
あっ、上手いこといいますね〜。 |
撮影班: |
… |
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準備
下流側から約100メートル上流に向かって、斜め末広がりに50センチメートル間隔で、鉄の棒を打ち付けている。
昇ちゃん: |
あの、これは何のためにやっているのですかね? |
漁師さん: |
まあまあ、そのうちわかるから。ほれ、まだまだ先は長いぞ。どんどん、打ち付けてくれ。 |
カンカン、カンカン…地道な作業が続く。固い岩盤に当たれば、全く鉄の棒は刺さらない。しかも、重さ3、4キロしかないハンマーが10キロにも20キロにも感じてきた。
ツボッチ: |
あかん、めっちゃしんどいわ。もう腕が上がらへん |
昇ちゃん: |
あれ、ツボッチ兄さん。もうギブ・アップですか? |
ツボッチ: |
そういう、昇ちゃんはまだ、5本しか打ってないんちゃうか?俺はもう、10本は打ってんで |
昇ちゃん: |
し、失礼な!何をおっしゃいます!僕はもう10本以上打ってますよ! |
漁師さん: |
つべこべ言わず、どんどん打て〜!! |
二 人: |
は、はいーーー! |
撮影班: |
… |
なんとか鉄の棒を打ち終わり、休む間もなく、その棒に網を張り巡らした。
下準備も終わり、いよいよ地引き網の用意にとりかかる。
先程、張った網から約500メートル上流より右岸側と左岸側に分かれ、下流に向かって地引き網を開始する。そう、魚を先程の仕掛けに追い込み、そして捕らえるという漁なのだ!
途中、川底に沈んでいる木や岩に網が引っかかることがあるので、それを取る係をやってくれないかと頼まれる。季節は秋真っ只中。気温、水温ともに下降中…
「僕、やります!!」
ツボッチなんかに負けまいと、昇ちゃんが自ら名乗り出た!ツボッチを横目に誇らしげに川に入っていく昇ちゃんであった。 |
先は長い…
撮影班は相変わらず格好いい! |
漁開始!!
下流に向かって網を引っ張りだす。川の真ん中では昇ちゃんがいつでも来いと言わんばかりに、構えている。が、内心ものすごく寒い。唇も青くなってきている。 |
漁師さん: |
おーい、大丈夫かー。そこ、引っかかったから取ってくれー。 |
昇ちゃん: |
うおおおー。がってんだー! |
ツボッチ: |
なんか悪いもん食べたんちゃうか?変やぞ、昇ちゃん。 |
昇ちゃん: |
うおおおー、そんなことないっす!いつも通りです!!あ〜〜っ!で、でかい魚が、そこにもあそこにも!! |
漁師さん: |
昇ちゃん!そ、そこは…!? |
ポチャン…
漁師さん: |
…水深が2メートル以上あるって言うの遅かったね… |
昇ちゃん: |
お、遅すぎです… |
そうこう言っているうちに仕掛けの網に近づいてきた。
岸を見ると、いつの間にか子供たちが集まってきている。かっこいいとこ見せようと、昇ちゃんにも気合いが入る。
昇ちゃん: |
うおおおー、大漁じゃ!大漁じゃ! |
子供たち: |
うわー、あそこに変なカッパがいるーー! |
昇ちゃん: |
だれが変なカッパじゃ〜!カッパに変も良いもあるか〜!それよりも、君たちも網を引っ張るのを手伝ってくれ〜! |
子供たち: |
オッケー!それっ!オーエス!オーエス! |
昇ちゃん: |
ちょ、ちょっと!引っ張るの、は、早過ぎ… |
ポチャン…
獲れた魚がどんどん、岸に揚げられる。
子供たち: |
うわー、大漁だー!しかも、すごい大きい!これは、なんて魚ですか? |
漁師さん : |
それは鯉だね、それでそっちがヘラブナで、ん?コクチバスがいるな。この魚は元々日本にいない外来種の魚で、元々ここに住んでいる魚を食べちゃって、在来種が減ってきているんだ。今までいなかったのにな…こんなとこまで、生息してきてるなんて。 |
子供たち: |
へえー。でも、なんで日本にいない魚がこんなとこに住んでるの? |
漁師さん : |
昔、食料がない時代に外国から持ち込まれたり、釣りを楽しむために誰かが放流したり、あとはペットで飼われてたものが川に捨てられたりして野生化したりと、色々原因があるんだな。 |
ツボッチ: |
うーん、結局、人間が魚の生態系を壊している原因なんですね…あれっ?ところで、昇ちゃんはどこいったん? |
撮影班: |
あそこに引っかかっているの、昇ちゃんじゃない? |
昇ちゃん: |
す、すいませーん!誰が助けてくださーい! |
ツボッチ: |
か、かっこ悪すぎる!ほんま情けないわ… |
結局、なに一つ良いところ見せることもできず、カタカタ震えながら帰路に着く昇ちゃんだった… |
続々集まる子供たち
オーエス!オーエス!
これなんだ??
おいしいところはツボッチにとられた… |
昇ちゃんメモ
いやー、唇青くなったの、小学生以来でしたね。
ところで、今回の漁で獲れた魚はタモロコ、シマドジョウ、ジュズカケハゼ、モツゴ(クチボソ)、スジエビ、アブラハヤ、ヌカエビ、コクチバス、コイ、ヘラブナ、コイフナ、ニゴイの計12種類。小さな小魚は、追い込んだ浅瀬のところに仕掛けておいた、籠の中に逃げ込んでいたところを捕らえました。コイフナはその名の通り、コイとフナの間の子だそうだ。非常に珍しいんだって。えっ、食べてないのかって?すいません、それどころではありませんでした… |
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