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【2004年12月14日 緊急特集号 その2】
 翌朝。11月21日朝9時。まだ見ぬ“笹伏漁”がどんなものか、期待に胸躍らせるツボッチ。しかしその前にまたしても立ちはだかる荒川の激流が!!

ツボッチ: 今日は激流なんかに負けへんで〜!こんなんさっさと渡ってやる!
撮 影 班: あのね、気合い入れるのはわかるけど、今日は機材も多いから漁師さんが舟を用意してくれてるんだけど…。
ツボッチ: なーんだ。本気で渡るつもりだったのに…ま、しょうがないか。
撮 影 班: そんなに言うなら、渡る?歩いて。
ツボッチ: イ、イヤ、せっかくだから舟で行かせていただきます!

ということで、漁師さんが対岸まで舟で渡してくれた。

漁師さんたちは手際よく作業を始め、撮影班は撮影を開始した。ツボッチも慌てて取材体勢に。しかし…。
漁といっても漁師さんが持ってきているのは、ハンマー、ノコギリ、それにどういう訳か鉄の棒が20本ほど。おまけにワラの束がいくつか。一体、これでどうやって魚を採るというのか?
2人の漁師さんが川辺の木々をギコギコとノコギリで切り出した。そして、もう2人が川に入って、例の20本の鉄の棒をカンカンとハンマーで打ち付けだした。

ツボッチ: すんまへん、今何してますの?漁はまだやらないんですかね?
漁師さん: まだまだ。今は仕掛けを作り出したところだよ。どうなるかはそのうちわかるから、ちょっと待ってなさい。いい子だから。
ツボッチ: イイコって、小学生じゃないんだから…。
撮 影 班: あれっ?そう言えばキミ“笹伏漁”は飽きるほど見ているんじゃないの?
ツボッチ: いいえ。初めてです!
撮 影 班: でもおたくの団長さんが…。
ツボッチ: そう言ってました?
撮 影 班: うん。“笹伏漁”には詳しいって。
ツボッチ: あー、わかりました。
撮 影 班: 何がわかったの?
ツボッチ: うちの団長はときどき夢と現実が入り混じっちゃうんですよ。この前なんかいきなり2階の窓から飛び出そうとするから慌てて止めたんですけどね、どうも本人としては鳥みたいに空を飛びたいと思っていたらしくて。それといつかなんかは…。
撮 影 班: もう、いい!!もういいですから、とにかくしっかり取材してください。
ツボッチ: はいな。まかせてください!

エンヤコーラサ!


バサバサ切りまくる


ハンマーの音が響く
 
川に入っている漁師さんは、鉄の棒を正方形に囲うように打ち付けている。川底の硬い岩盤に打ち当たると全く鉄棒が突き刺さらず、漁師さんも四苦八苦していた。ふと気づけば撮影班は川に入り込んで撮影している。
「負けてられへん!」
ツボッチもカメラ片手に川にはいる。が、またしても流れの強いところに行ってしまい身動きが取れない。みんなは忙しくツボッチどころではない。そのうちに
「邪魔なんだけど!」
と怒られ、ツボッチはやっとの思いで川岸にはい上がった。

川辺の漁師さんは、四角に囲った鉄棒の中に先ほど切り出した木をポンポン投げ入れる。それを川の中の漁師さんが四角の中に上手に敷き詰めていく…。
作業は約4時間続いた。

漁師さん: よし、こんなもんだろう。
ツボッチ: こんなもんって、これでどうやって魚を捕るの?
漁師さん: 1ヶ月後にまたここで会おう。
ツボッチ: 1ヶ月後?!
漁師さん: そう。あせっても魚は捕れません!それとも2ヵ月後にするか?そっちの方がかかっている魚が多いし…。
ツボッチ: イ、イヤ、1ヶ月後でいいです。来月の今日、わたくしツボッチは間違いなくこの荒川に登場します!

…結局、“笹伏漁”の実態は何一つ掴むことができなかった。でも1ヶ月待てばそれが解明される!今わかっていることは、あの仕掛けに何故か魚が集まってくるということだけだ。その魚をどうやって捕まえるのか?そもそもなぜあの仕掛けに魚が集まってくるのか?
とにかくお楽しみは1ヶ月後。それにしても“笹伏漁”は大変だ!

川辺の生物
キジ、トカゲ、キツネ(?)とにかくいろいろな動物がいました。
「人間にとっても、動物にとっても川辺ってのは憩いの場なんやな?」
一人で感心する、ツボッチでした。

木を投げ入れる

ギュウギュウに木を敷き詰める

仕掛完成!

(撮影班いわく)キツネの足跡

と、トカゲ〜
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【2004年12月07日 05号】


ひとまず、三つの鉄則を果たした昇ちゃん。しかし、荒川の上流まではまだまだ果てしなく長い。また、新たな出会いを求め、そして山を目指す旅に出る!

臨海町をあとに

11月25日。本日もまたまた快晴!!最高のお出かけ日和だ。最初の雨が続いたのは、きっと団長が雨男だったからに違いない!てなことを思いながら、昇ちゃんは前回の探険地「臨海町」をあとに、ズンズン歩き出した。 

散歩している人、ジョギングしている人、釣りをしている人、サイクリングしている人…みんな荒川に自分なりの魅力を感じている人達だ。

「おやっ?!」
何やらせっせと船の上で働いている人が見える。昇ちゃんは川べりまで近づいて何をしているのか確かめようとしたが、岸から遠くてわからない。
「もう少し、こっちに近づいてきたら聞いてみよう。」
としばらく待つことにした。しかしそのうちに…スピ〜、ガ〜と居眠り。…ポカポカ陽気であまりにも気持ちが良すぎた。そして30分後。
「あれっ!?」
昇ちゃんが目覚めたときには、すでに船の姿はなかった。天気が良すぎて気が抜けちゃったなぁ。昇ちゃんは仕方なく川べりを歩き始めた。

釣り人「出世魚」

この辺の川べりは河口付近とはずいぶん違う。ヨシが生い茂り岩がごつごつして砂浜のようなところもある。そう、まるで海みたいだ!まさか水までしょっぱくないよな。昇ちゃんは飲んでみようと思った。が、川面にはあまりにもゴミが多い。流れ着いたゴミがよどみに集まっている。汚い。この水をそのまま飲んだら腹をこわしそうだ。
「さすがの団長もこれを飲めとは言わないだろう・・」
水を飲むのをあきらめ当たりを見ると、のんびり釣りをしているおじさんがいる。近寄って横のバケツをのぞくと釣り上げた魚が泳いでいる。

昇ちゃん: おおっ!これはスズキですね。
釣 り 人: いや、それはフッコだな。
昇ちゃん: フッコ?スズキじゃないの?ずいぶん似てますけど…。
釣 り 人: スズキはスズキだけど、この大きさならフッコって言うの。スズキは出世魚だから、成長するに従って呼び名が変わっていくんだよ。
昇ちゃん: 出世魚!?魚にも部長とか課長とかあるんだ…。
釣 り 人: うーん、ちょっと違うけど…。子供のときはセイゴ、成長していくとフッコ、スズキと変わっていくんだな。
昇ちゃん: へー、そうなんだ。で、今晩はこれで一杯やるわけですね。
釣 り 人: いや、逃がしてやるよ。
昇ちゃん: えー、きっと美味しいのに!
釣 り 人: まだ、小さいからね。まぁ、俺はただこうやって天気のいい日に糸たらして、ボーっとしてるだけでいいんだよ。それで満足だ。だって、それだけで気持ちいいだろ?

楽しそうに語ってくれた釣り人の名は池田さん。この近所に住んでいる。荒川は池田さんにとって昔からの遊び場。今でもこうやって、天気のいい日に釣りに来ているそうだ。“のんびりした川との関わり”…そういうのもいいなぁとシミジミ感じた昇ちゃんでした。

05_01.jpg 気持ちイイ!!
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何をしているんだろう?
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鳥たちのいこいの場
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スズキ?!
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池田さんとツーショット!

タバコ屋のお婆ちゃん「洪水」

歩くこと、4時間。喉がからからになった。お茶でも買おうと少し川を離れて路地のほうへ入ってみた。そこで自販機を発見。しかし、お金を入れてボタンを押してもお茶がでてこない!!
「くそー、なんで出てこないんだー!!」
ドンドンと機械を叩いていると、横のタバコ屋からお婆ちゃんが出てきた。
「ときどきこうなるんだ。機械だからしょうがないよね」
と言いながら自販機の扉を開けてお茶を取り出してくれた。お婆ちゃんは、敗戦後からこの土地でずっと商売をしてきたという。いろいろな話を聞かせてくれた。

婆ちゃん: …昭和22年の9月に大洪水があってね。そのときは本当にひどかったよ。
昇ちゃん: 昭和22年ということは、僕の父親ですら生まれてない!で、被害はひどかったんですか?まさか家が流されたとか…。
婆ちゃん: 家は流されてはないけど、屋根の上で10日間も過ごしたよ。すぐそこのお寺なんか傾いてしまったんだよ。
昇ちゃん: なんだかものすごく大変だったみたいですね。
婆ちゃん: 利根川の栗橋辺りの堤防が決壊してね。それで、こっちのほうまで水が来たんだよ。この辺は川の水位よりも土地の方が低いからね。朝方から水がどんどん増えだして、気がつけば屋根の上だよ。
昇ちゃん: …ご飯とか、どうしたんですか?
婆ちゃん: ラジオで台風がくるって聞いてたから、あらかじめ米や芋なんかを用意しておいたんだよ。それをどうやって調理したかは覚えてないんだけど…でもそれがあったからなんとか過ごせたんだよね。
昇ちゃん: なるほど。でも、そうやって用意していた人はいいけど、用意してなかった人は困っただろうなぁ。
婆ちゃん: そういう人はね、家にある木材やタイヤを使って即席のイカダを作ってさ、それを使って堤防の高い場所に逃げて、そこに掘っ立て小屋作って住んでたよ。救援が来たのは3日くらい経ってからだったなぁ。
昇ちゃん: それまでは自分達で…?
婆ちゃん: うん。ちょうど姪が生まれたばかりでそれが一番大変だった。溺れないか心配で、ずっと見ていたよ。
昇ちゃん: 引っ越そうとか考えたりはしなかったんですか?また洪水が起きるかもしれないし…。
婆ちゃん: それは、考えなかったね。商売してたし。その後は大きな水害もないしね…。だいたい水がないと私たちは生きていけないんだから。それくらい我慢しないとね。それになんてったって、生まれ育った土地だからね。私はここが好きなんだよ。

タバコ屋のおばあちゃんの言葉が、昇ちゃんの心に響いた。「川と共に生きる」…まさしくそんな言葉だった…。

ウンウンとうなづきながら、昇ちゃんは一人で満足気に帰路に着いた。電車に乗ってまずはじめたのが「忘れちゃいけない3つの鉄則チェック!」
誰かに出会ったか?…今回はエラクたくさんの人に会いました!
川に触れたか?…川の水を飲もうと思った時に触りました!
川の恵みを食べたか?…今回はタバコ屋さんで飲んだお茶ってことにしとこう!
よし、あとは今日撮った写真の確認だ。うーん、全て完璧!イイ写真ばっかりだ…アー!!お婆ちゃんの写真撮るの忘れた!!
昇ちゃんは急いで引き返した。が、時既に遅し!タバコ屋さんはシャッターを降ろして閉店していました…ガーン!!

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この辺一体が大洪水

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おばあちゃんの写真撮れませんでした・・