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【2004年03月05日 08号】
 2005年3月5日朝9時。外はいい天気。2度寝3度寝を繰り返し、ツボッチはうつらうつら布団の中で幸せを感じていた。
ツボッチ:「あ〜、最高やなあ〜。天気もいいし。こういう日は家の中で寝てるのが一番。いや、これじゃあかん。いけいけ川っぷち団員として、何かせんとあかんねや。こんなんやから、最近ぶくぶく太ってくるねや。そうや、あかん…。…でも睡魔には、勝て…ない…。」

サイクリング

結局、4度寝したツボッチはお昼前に起床。とにかく荒川沿いをサイクリングすることに決めた。荒川沿いにはサイクリングロードがある。

ツボッチ:あ〜気持ちいいな。まだ少し寒いけど、春になったらもっといい気持ちなんやろう〜な〜。

河口から20キロ付近。東京都足立区新田。このあたりにはいろんな人が行き交う。散歩する老夫婦、ランニングをして汗を軽く流すさわやかにいちゃん、オッス、オッスと言いながらへとへとになっている近所の剣道部中学生たちなど。この荒川に沿うアスファルトの道は、近くの人たちにとっての体を動かす憩いの通りになっている。眺めがいいせいか、空気もおいしく感じる。

ツボッチ: 『川に沿って行く』っていうのは、人間の本能なんやろな〜。なんか川から離れる時、寂しくなるのは俺だけかな〜。ほんとはもっと川に沿っていきたいのに、いろんな事情が合って…。あっ!
昇ちゃん: 最近の団長は自分勝手で…、ああっ!
ツボッチ: 何してるん、昇ちゃん!
昇ちゃん: 何してるんですか?ツボッチ兄さん!

久しぶりの再開

ツボッチ: 久しぶりやな〜、元気にしてた〜?
昇ちゃん: お久しぶりです。元気ですよ。『いけいけ川っぷち団・虎の穴』の卒業式以来ですね。
ツボッチ: あ〜そうやな〜。あの時団長が大泣きして大変やったからなぁ。
そういえば最近、団長どう?『笹伏漁』の取材依頼から全然連絡ないねんけど、生きてる?
昇ちゃん: 生きてますよ。もう団長には呆れますよ〜。適当な情報しか言わないし、嘘言って強引に取材に行かすし、たまには自分一人で行って欲しいっすよ。
ツボッチ: 団長は昔からそうやからなあ。いい加減、これが『いけいけ川っぷち団』の団長ダァ〜みたいなもの見せて欲しいよな〜。

団長の悪口をひとしきり続けた2人は、昼ごはんに牛丼を食べて別れた。

ツボッチ:なんか悪口言ったら元気になったな…。よしっ、飯も食ったところで、サイクリングでも続けるか〜。


たたずむツボッチ

まだ少し雪が残ってる

!!!

団長の悪口を言い合う二人
野球少年チーム

お昼過ぎ。この通りには運動をする人が増えてきた。
川辺近くの小さなゴルフ場からは、おっちゃんたちの笑い声が聞こえ、川辺の広い空き地では「そこ〜!」「何やっとる〜!」と少年野球チームの監督さんの怒鳴り声が響き渡っていた。

ある女性: あの子、うちの孫なんです。
ツボッチ: おぉ〜、びっくりした〜。そ、そうなんですか?あの子ってどの子ですか?

振り向けば、練習をしている子供たちの方を女性が見ている。
名前は岡田さん。

岡田さん: ほら、今監督に怒られている子よ。うふふ。
ツボッチ: こ、こわそうな監督…。しかしいいですよね〜、こういう広い敷地で野球ができるの。なんかすがすがしいな〜。
岡田さん: ここの敷地は足立区の組合の方たちがボランティアで整備して、開放してくれているのよ。
だから週末にはどこかのチームが練習しているわ。ここで眺めているだけで結構楽しいわよ。
ツボッチ: あ〜、わかります。見晴らしもいいですもんね。
岡田さん: それにここに来たら、散歩している人がしゃべりかけてきて、いろんな人と仲良くなれるのよ。
ツボッチ: へ〜、まだまだ東京も捨てたモンやないですね〜。僕もここに通っていたら、いろんな人と仲良くなれるかな〜。きれいなお姉さんとか…。
監  督: うおりゃ〜、そこのカエル〜!たま拾ってこーい!
ツボッチ: ん?カ、カエルって僕のことっすかね〜。
岡田さん: こっち見ているね。あんたじゃない?
ツボッチ: な、何で僕なんですかね。
監  督: カエル〜!走れ〜!!
ツボッチ: は、はいっ!

この野球チーム、「新田ファイアーズ」は2週間後に開催される大会に向けて練習していた。そのため、監督の栗原さんはいつもより燃えているらしい。

岡田さん: 監督、燃えてるね〜。
監  督: 試合には勝たねばならぬ。お前ら、アレやるか。
少年1: アレってまさか?
少年2: 地獄のファイヤーズ100本ノック〜!?
少年3: 勘弁してくださいよ〜。
監  督: …。
岡田さん: まずいよ、あんたら!はやくいきなよ。つべこべ言ってたらまた…。
監  督: どぉりゃ〜!!はやく!行け〜!!
少年たち: はいっ!
監  督: カエルも行け〜!!
ツボッチ: え〜、何で僕が…、は、はいっ!

このあとツボッチと少年たちはへとへとになりながら、いい汗を流した。ツボッチと少年たちに深い絆ができたのは言うまでもない。

なぜかみんなこっちを見てる…

みんな必死で練習しています

心配そうに見ている岡田さん

燃えている監督、栗原さん

みんなで記念撮影
絶対優勝するぞー!


【2005年03月22日 07号】


 去年の12月9日。師走に入り、寒さがだんだん増してきた。寒さにからっきし弱い昇ちゃんは、家のこたつでゴロゴロと、ミカンを食べつつテレビを見ていた。…と、そこへ団長からの緊急電話が!

女の子?

団   長: 昇ちゃん、何してるの?
昇ちゃん: ミカン食ってテレビ見てます。何かご用で?
団   長: それがさ、ついさっき、とあるところから電話があって、大至急来てほしいって言われたんだけどさ…
昇ちゃん: 嫌です。外は寒いし、僕は絶対行きませんよ!
団   長: あっ、そう。女の子からの電話だったんだけどな〜。
昇ちゃん: えっ!
団   長: しょうがないなぁ。じゃあ、つぼっちにでも頼もうかな。
昇ちゃん: もしもし、団長、今ミカン食い終わりました。僕、行きますよ。
団   長: テレビ見てるんじゃないの?
昇ちゃん: テレビ?…あっ、テレビ今壊れちゃいました。団長!僕以外にいったい誰が行くって言うんですか!間違ってますよ!
団   長: なにも怒らなくたっていいじゃないか…まぁ、とにかく頼んだよ。
昇ちゃん: 任せて下さい!私、昇ちゃんは何があっても行ってまいります!

なにがなんだかよくわからないが、とにかく女の子が待っている!?ということで、待ち合わせ場所に向かう昇ちゃんだった。

岩淵水門

荒川にあるでっかい赤い水門“岩淵水門”前にいるということなのだが、女の子どころかほとんど人なんか歩いていない。いるのは、なにやら船で作業している人たちだけだ。すると、船の方からこっちに向かって男の人が歩いてきた。

男の人: 君が昇ちゃんかい?
昇ちゃん: はい?なぜ僕の事を?
男の人: いやいや、噂はかねがね団長さんから聞いてるよ。前から、どうしても水面清掃船に乗せてほしいって連絡をもらってたからね。今日だったら都合が良かったので電話したんだよ。
昇ちゃん: はぁ、で、女の子は一体どこに?
男の人: 女の子?何を言ってるんだい?ここにはいないよ。
昇ちゃん: そうですかー。いませんかー。いるわけないですよねー…くそ〜!団長〜!!

と叫んでも団長に聞こえるわけがない。いとも簡単に団長の嘘に引っかかってしまった昇ちゃん。意気消沈のまま水面清掃船に乗ることになった…。

水面清掃船

だまされたと言えども水面清掃船に乗る機会なんてなかなかない!がんがんゴミを取ってやる!そう心に言い聞かせ舟に乗り込むしょうちゃん。
「それにしてもへんてこな船だな〜」
真ん中に四角くぽっかりと開いていて川面が見える。まるでいけすのようだ。そして、その横には大きなカゴの中に大量のゴミと流木が入っている。

昇ちゃん: 今日はお世話になります昇ちゃんです!彼女はいません!…ところで一体どうやってゴミを取るんですか?
船  長: もう少し経ったら分かるからさ、ちょっと待ってて。
昇ちゃん: イェッサー!キャプテン!


岩淵水門

カゴの中にはゴミの山

清掃船

船長・島田さん
水面からの視点

船はゆっくりと河口へ向かって動いている。ふと見ると右岸側ではちょうど堤防の工事が行われていた。川から見た堤防は、高く、そして長く続いている。
「あんだけ高く作ったらさすがに氾濫することはないだろうな」
一人で感心していると、正面に停泊している船の上から白い旗を振っているおばちゃんがいる。

昇ちゃん: キャプテン!我々の船に降参している人がいます!
船  長: 降参?ははは、あれは進行方向で工事が行われている場合に、安全に通れますという合図だよ。
昇ちゃん: なるほど、僕はてっきりこの船に恐れをなして白旗を振っているのかと思ましたよ。ところで、先程からゴミを取ってる気配が全くしないのですが…
船  長: そんなことないよ。船の真ん中を見てごらん。
昇ちゃん: ア〜、ゴミがいつの間にか溜まってる!!いっ、一体どうやって?


堤防工事中

降参?

ゴミの引き上げ

船体の真ん中が空洞になっていて、水面のゴミがそこを通ると中央にあるでっかいザル(スクリーンバケット)がゴミを受け止めるという仕組みになっている。ゴゴゴー、アームがスクリーンバケットを持ち上げて、横のカゴの中にゴミを落とし始めた。

昇ちゃん: おぉ!真ん中にあるザルが、仕掛けられた魚の漁の網みたいにゴミを取っていくわけですね。まさか、本当に魚が大漁ってことはないですよね?!
船  長: それはないけど、この前、金庫が引っかかってね。
昇ちゃん: 金庫!?ということは中にはお金がたくさん…まさか、持って帰ったとか?
船  長: そんなことはしません!すぐ警察に電話して、取りにきてもらったよ。しかも、中身は書類ばっかりだったらしいよ。泥棒が盗んで、お金が入ってなかったから川に捨てたんだろうね。

風は比較的に穏やか。外は寒いが、操縦室の中はストーブもありなかなか快適だ。

船  長: 5年くらい前までは、操縦室のない屋根もない船でさ、夏は暑い、冬は寒いで大変だったんだから。おまけにゴミまで多いとさ、本当に気分悪いよね。
昇ちゃん: そうですよね。例えばゴミが特別に多い日なんてわかるんですか?
船  長: 大雨が降った次の日は特に多いな。今の時期は風が左岸側から右岸側からかけて吹くから、岸辺に沢山集まるんだ。これがまた大変なんだよ。降りて拾い集めたりしなきゃならないし。
昇ちゃん: だいたい川にゴミを捨てなければこんな苦労はしなくていいのに。
船  長: 川だけじゃないんだな。町に捨てられたゴミも全部、雨や風によって配水管などに流されて、最終的には川に集まってくる。その辺に何気なくみんなが捨てるゴミもこの荒川が受け入れて、そして海に流していくんだよね。

昇ちゃんは甲板に出て、しばらく荒川を眺めながら考えるのだった。
「あらかわも大変だよな。全く疲れ切ってるよ…うっ!?」

昇ちゃん: …あの、ものすごくいいお話の後でくだらない質問なんですが…
船  長: なんだい?
昇ちゃん: 皆さん毎日こうやって船に乗っていて、船酔いなんかはしないんですかね?
船  長: 船酔い?したことないな。だって、この船そんなに揺れないでしょ?えっ!?まっ、まさか。
昇ちゃん: そのまさかです…

船酔いのためあえなく、お昼前に途中下船。うーん、なんとも情けない昇ちゃんだったのでした。

ここからゴミを取り入れて

スクリーンバケットへ

集めたゴミをザザーン!

こんなに川辺にゴミがあります