【2006年07月25日 15号】
もう関東地方も梅雨の季節。雨が続くのは嫌だけど、その雨が降らないことには僕らは生きていけない。それはさておき、荒川の水が東京の水…その答えを追求すべく、探険に出発だ!
東京都水道局
プルル〜、プルル〜…
水道局:
もしもし、東京都水道局です
昇ちゃん:
あのー、荒川の水が東京の水と聞いたのですが、本当ですか?
水道局:
はい、本当ですよ。正確に言うと、朝霞浄水場には通常、利根川と荒川の水が入ってきます
昇ちゃん:
とねがわ?あのー、筑後川なら知ってますけど?
水道局:
あー、利根川の弟さんですね
昇ちゃん:
えっ、弟?筑後川がですか?人間じゃないですよ。川です、かーわ!
水道局:
筑紫次郎はご存知ですか?
昇ちゃん:
筑紫哲也なら知ってます
水道局:
ハハハ、筑紫次郎は筑後川の別称です。それで利根川は板東太郎と呼ばれているので、筑後川は弟分なんです。ちなみに三男は四国三郎こと吉野川です
昇ちゃん:
ははー、べ、勉強になります
水道局:
えー、話を戻しますが、東京の水の一部は利根大堰から武蔵水路を通って荒川へ。その後、秋ヶ瀬取水堰から水を取り入れて、朝霞浄水場に入っていくんです
昇ちゃん:
…う〜ん、わかったような、わからないような…そういえば、秋ヶ瀬取水堰はこの前見たな。朝霞浄水場?あったかな、そんなところ?
水道局:
朝霞浄水場は秋ヶ瀬取水堰から南に約2キロほど下ったところにあります。もし、よろしければ見学しにいらっしゃいませんか?
昇ちゃん:
え、そんなことできるんですか?もちろん行くに決まってるじゃないですか!いや、お伺いさせてもらいます、是非!
朝霞浄水場
秋ヶ瀬取水堰からとことこ歩くこと約30分。途中、荒川の支流、新河岸川が流れ、それを越えたところに朝霞浄水場が見えてきた。浄水場に着くと技術課長の高岡さんがさっそく施設を案内してくれた。
高岡さん:
ここは着水井(ちゃくすいせい)です。
昇ちゃん:
でっかい五右衛門風呂みたいなんですけど、ここは一体?
高岡さん:
秋ヶ瀬取水堰から取り入れた水を、地下の導水トンネルを通してこの浄水場の下まで運んでいます。それをポンプでくみ上げて、その水量や水位を調節しているところです。では建物の屋上から全体を見てみましょう
昇ちゃん:
あのー、すいません。今日、水着忘れちゃたんですが…
高岡さん:
はい?水着?何のことでしょう
昇ちゃん:
だって、プールがあんなにたくさんあるのに…
高岡さん:
あー、確かに似ていますが、プールではないんです。あそこは沈でん池(ちんでんち)といって、水にまじった砂や土を下に沈めるところなんです。味噌汁をかき混ぜてしばらくすると、透明な部分と濁った部分に分かれますよね。丁度あんな感じです
昇ちゃん:
なるほど。その、隣には屋根つきプールですか?
高岡さん:
…ハハハ、あれもプールではなく、前段ろ過池というところです。沈でん池では取り除けなかったさらに細かな砂や土などをろ過しているところです。上に取り付けてあるものは太陽光パネルで、太陽光を利用して発電する設備なんですよ
昇ちゃん:
太陽光で発電?あの屋根がですか?
高岡さん:
そうです。この敷地内の電力をすべてまかなうことはできませんが、年間で一般家庭の約270戸分の電力量を発電でき、二酸化炭素削減量は450トン。一台の車が出す二酸化炭素の排出量の平均が約2.4トンなので、自動車約190台分の二酸化炭素を削減できるのです
昇ちゃん:
へー、地球にやさしいってことですね
高岡さん:
しかも、ろ過池への異物が入るのを防ぐ役割もあるんです
昇ちゃん:
一石二鳥!!
さらに高岡さんは、建物内へと案内してくれた。
五右衛門風呂!ではありません
こんなにたくさんプールが…?
高岡さん:
その中をのぞいて見てください
昇ちゃん:
ん、何やら青い光が見えますが、どこかで見たことあるような…あ、あの夏によく見る、蚊を殺す青いライトでは?!
高岡さん:
まさか!それはオゾン発生器です
昇ちゃん:
オゾンって、オゾン層とかでよく耳にする、あのオゾンですか?
高岡さん:
はい、オゾンの強い酸化力でカビ臭の原因物質を分解します。しかもマンガンや鉄の酸化、殺菌作用もあるんです
オゾン発生器です!!
高岡さん:
さらに、この生物活性炭吸着池を通して、活性炭の表面にすむ微生物によりアンモニアなどを分解します。そして最終的に後段ろ過池でもう一度ろ過して、安全でおいしく飲める水にします
昇ちゃん:
おいしい水をつくるために二重、三重と工夫しているんですね
高岡さん:
では、あちらの蛇口から出る水を飲んでみてください
昇ちゃん:
うっ、うっまーい!!匂いもないし、本当においしいです!でも、おかしいな…僕、東京に住んでいて、家ではここでできた水を飲んでいるはずなんですが、こことは違うような気がするんですが…
高岡さん:
そうなんです。このおいしい水をそのまま蛇口まで届けるために今、東京都水道局では“安全でおいしい水プロジェクト”ということを実施しています。古い水道管の取り替えやビルやマンションで使用されている、貯水槽の管理状況の調査や水質検査等を実施し、不備があった場合には、設置者に対する指導や助言を行うなど貯水槽水道の適正管理に向けた取組を進めているんです。
昇ちゃん:
なるほど。つまりせっかくおいしい水ができても、それを貯めておく桶や樽、いわゆる容器が汚れていてはおいしく飲めないということですね
高岡さん:
はい、簡単に言えばそういうことです
安全でおいしい水を届けるための、水道局のみなさんのたゆみない努力とそして切実な思いが感じられました。でも、もともとの川の水がきれいであることが一番大切なことだと思います。ゴミを捨てるなんてのはもってのほか、東小松川ポンプ所の所長さんも言っていたけど、家庭排水で油を流したりすることも川の水を汚す原因になります。僕たちが安全でおいしい水を飲むためには、僕たちも努力する必要があるんだな…と今回はかーなーり、真面目に反省する昇ちゃんだったのでした。そして最後に、施設を案内してくれた高岡さん、お忙しいところ、本当にありがとうございました!!
東京都水道局のホームページものぞいてみよう!
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/
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